くじらは哺乳類に分類され、海に適応した大型の動物です。生物学的には大きくヒゲクジラ類とハクジラ類に分けられます。この分類は食べ物の取り方や体の構造の違いによるものです。
ヒゲクジラ類の特徴は、口の中に歯の代わりに「ヒゲ板」を持つことです。
このヒゲ板を使い、海水を口に含んでから吐き出すことで、オキアミや小魚などの小さな生物をこし取って食べるのです。おだやかな性質を持つ種類が多く、体は非常に大きいです。
今回のお話はこの「ヒゲクジラ」のお話です。ヒゲクジラには
①シロナガスクジラ。地球上に存在した動物の中で最大です。体長は30メートルを超えることもあります。主食はオキアミで巨体にかかわらず小さな生物を大量に食べます。心臓は自動車ほどの大きさがあります。
②ナガスクジラ。シロナガスクジラに次ぐ大きさで泳ぐ速度が速く、比較的知能が高く、群れで行動することもあります。
③ザトウクジラ。胸ヒレが非常に長く、海面から体を跳ね上げる行動「ブリーチング」をよく行い、観光資源としても人気が高いです。
④セミクジラ。動きがゆっくりで、かつては捕鯨の対象になりやすかったため「捕獲しやすいクジラ」として知られていました。
⑤その他、イワシクジラ、ニタリクジラ、ミンククジラ等が主な種類です。
この中で現在、関鯨丸が捕獲する商業捕鯨の対象はナガスクジラ、ニタリクジラ、イワシクジラです。
さて、今回の「歌を歌うくじら」の話はヒゲクジラ類の中で一番複雑な歌を歌うといわれる「ザトウクジラ」です。
(1)特徴。くじらの歌は、ただの鳴き声ではありません。
①低くて長い音、フレーズ・節・曲という構造がある。
②1曲が10~30分も続くことがある。
③何時間も繰り返して歌うことがある。
(2)なぜ歌うのか。はっきりとはわかっていませんが、次の説があります。
①求愛のためで、ほぼ雄です。一番有力説です。
②仲間とのコミュニケーション
遠く離れた仲間、数十キロ届くそうです。縄張り・位置を知らせる。
(3)クジラには人間のような声帯がありません。肺の空気を使わず、鼻の奥の器官(鼻腔)で音を作る。水中でも長時間歌える。さらに面白い特徴として、歌は毎年変わることです。同じ海域のザトウクジラはみんな同じ歌を歌う。年ごとに少しづつ変化する。ある地域の歌が、別の海域へ流行のように広がることがある。これは人類の文化に近い行動として、動物学でも非常に注目されているということです。